題 『苦しみから逃げないで』 |
先日、普段と何も変わらないはずの秋葉原でそれは起こりました。連続殺傷事件、犯人は、「誰でもよかった」と話していました。無差別に人を傷つけて、簡単に人の命を奪っていたのでした。他にも今年だけで、とてもたくさんの無差別殺傷事件が発生しています。理由はどれも「世の中がどうでもよくなったから」「人を殺せば自分も死刑になって死ぬことができると思った」などで、一つ一つの事件について、じっくり聞いてみたこともありましたが、僕には、どうしても、「もうどうにもならない」ということが理解できません。
僕はまだ実際に、仕事をクビになったなどということはないので、当事者の気持ちをわかりきっている訳ではないのですが、僕も、大きな壁にぶつかることがありました。僕は、小学生の頃からずっと合唱を続けています。しかし、中学二年生の時、のどを痛めてしまい、お医者さんにも、このまま歌い続けると今後一生にかかわる、と言われました。それからしばらくは歌うことのできないつらい日々が続きました。しかし、僕は合唱部をやめることはなく、今でも続けているのは、合唱が好きだったからです。はやく合唱ができるようになるまでとことん我慢しました。 これだけではなく、時には、意見の違いから友達と口をきかなくなってしまったり、部活だけでなく、勉強が思い通りに進まなかったり、たくさんの仕事を抱えこみすぎていっぱいいっぱいになったりもしました。そんなつらい時には、よく考えてみると、意見の違いがあるのは、お互いもっといい合唱をしたいから、上手くいかなくても勉強を続けるのは、自分の未来の可能性を多くするため、たくさん仕事があるのは、たくさんチャンスを与えられている、ということだと思います。 僕が、今日この場で言いたいことは、まさに今あげたようなことです。今自分がつらくて苦しくて、逃げ出してしまいたい、と思っている人は、楽しいことを考えてみてください。確かに、楽しいことや幸せなことは、つらいことや苦しいことに比べると、とても見つかりにくく、実感がわかないと思います。ですが、今やっているつらいことも、始めた頃は、希望や期待に満ちていたのではないでしょうか。長い間、続けているうちに当たり前になっていることを、壁にぶつかった時には思い出してほしいと思います。 そして、人はつらいことがあると、そのことに捕らわれがちで、それ以外のことに目がいかなくなってしまいます。それが自分のすべてだと思わずに、もっと長い目で、あるいは、あらゆる観点で物事を見ることも重要です。最初に話したような人達はきっと、つらいこと、苦しいことしか見えてなかったからそのようなことをしてしまったのだと考えます。人の一生は70〜80年以上続いていきます。その場のつらいことだけで、自分の人生を台無しにしてしまうのは、本当にもったいないことです。目の前の大変な出来事も、ちょっと腹が立った人に対してもどっしりと構え、解決していくことが大切です。 苦しいことから抜け出すことも、幸せをつかみとるためにも、半端ではない努力が必要ですが、そんなことは、僕が言うまでもなく気づいていると思います。きっと大人の中には、まだ僕が本当の苦労を知らないから、そんなことが言える、と思っている人も多いと思います。しかし、重要なのは、考え方で、明るい未来を目指し、前向きに生きていこうという心が一番大切だと僕は思います。 「平和」と言うと漠然としていますが、僕が考えるには、本当の平和とは、一人一人が心の中にいつも幸せを留めておくことで訪れます。すぐに苦しいことから逃げずに、もっと楽しいことを考えて生きていきましょう |