![]() (北海道PTA連合会会長賞) ![]() 題 『命の重さを感じて』 |
平成16年12月31日。その日は、雪がつもり、
家の周りはとても綺麗にキラキラ光っていました。
夕方、母から一本の電話。私の弟が『元気に産まれた』との報告でした。
私は、すごく嬉しい気持ちになり、妹と大喜びしました。
私は今事情があり、母とは一緒に暮らしていません。
でも、月に1・2度、母の家に妹と遊びに行きます。弟の名前は圭太といい、
初めて弟を抱っこした時、とても温かな気持ちになりました。
弟は、丸くて軽くて壊れそうなくらいに小さかったです。 ところが、少しして3キロあった弟の体重が段々と軽くなり、 2キロをきってしまったのです。何こめかの病院でやっと原因がわかり、 手術を受けることになりました。手術の日・・・悲しさと不安で胸が苦しかったです。 考えたくないようなことも沢山頭に浮かんできました。 もし、弟が居なくなったら・・・そんなことを考え、 涙をこらえるのに精一杯でした。『無事に手術が終わり圭太は大丈夫だよ』と 連絡がきたのは夕方でした。電話のむこうで母も涙声でした。 私は『うん』と返事をしたきり次の言葉がでてきませんでした。 母も私も弟の無事をただただ祈るとても長い一日でした。 圭太のかかった病気は、肥厚幽門狭窄症といい、胃の出口の筋肉がうまく収縮 できなくなるという約4千人に一人がなる病気です。 『あんな小さな体で手術に耐えたなんてすごい』本当にそう思っています。 このとこをきっかけに私は、生と死の境界線を深く考えるようになりました。 親から子へ命のバトンを受け継ぐということを、 私自身の体験を通して今回みなさんに伝えようと思ったのです。 命・・・大切な命。病気や事故などで一瞬にして人々の命が消えてしまったり、 辛く悲しい状況に耐えられずに自ら自分の命の火を消してしまったりと、 世の中には色々な死の形があります。 でも思ってみてください。私の弟のように、産まれてすぐに手術をして、 もしかすると助からなかったかもしれない命があることを。 世界でたった一人しかいない私の弟が、 一生懸命に戦って守った大切な命が私達を幸せにしてくれていることを・・・。 今色々な問題をかかえて苦しんでいる人は多いだろうし 『死』というものを本気で考えている人も中にはいるでしょう。 だけど、もし一人ひとりが親からもらった大切な命についてもう一度よく見つめ直して、 誰かに悩みを打ち明け、命のバトンを誰かにつなげなければならないという気持ちがもてたなら、 『死にたい』などの言葉を簡単に口に出す人は減ってくれると私は信じています。 これからは命を大切にすることをいつも心にとめ、 この先の人生を一歩、一歩力強く生きていきたい。 私自身も悩み苦しい気持ちになることがあります。 私は、そんな時、一人でかかえこまず、友達に相談して楽になろうと努力しています。 無条件に全てをうけとめて理解しようとしています。 生きる強さは簡単にうばわれたりするものではない。 ということを小さな弟が教えてくれたからです。 私は、弟を抱っこするたびに、今でもこれが命の重さなのだなぁ。 と感じています。生きようと頑張った圭太!!本当にありがとう。 |