題 『若者の心』 |
『心の闇』。この言葉を聞いたことがありますか。 私は、この言葉をニュースなどでよく耳にする様になりました。人には言えない、見えない心の不安。それが『心の闇』だと思います。働くストレスを抱える大人だけでなく、私達のような若者世代も、大人以上に『心の闇』を抱えているのです。 そんな中、いじめの問題は、私達中学生にとって、最も身近で考えさせられる問題です。いじめは、対等なケンカではなく、集団で個人を攻撃するという卑劣な行為です。なぜ、そんなひどい事が起こるのでしょうか。私は、インターネットでいじめについて調べてみました。いじめをする理由として一番多いのは『ただなんとなくおもしろそうだったから。』と言うものでした。しかし、本当にそれだけなのでしょうか。私は、本当のいじめの原因は、誰もが抱えている“心の弱さ”ではないかと思うのです。弱い自分よりさらに弱いと思える人間をつくり、自分は一番下ではないと言う安心を得ようとしているのではないでしょうか。いじめをしている人も、実は心の中は不安でいっぱいなのです。しかし、誰かを陥れても、本当の満足は得られません。 こうして、いじめられた人間はもちろん、いじめた人間の『心の闇』も広がっていき、“誰も信じられない”という不信感が満ちて行くのです。 一番いいのは、ありのままの自分に自信を持てる心の強さを持つことです。けれども、私達を取り巻く環境は複雑で、言葉で言う程自分に自信を持つことは簡単ではありません。 そんな事を考えて、一人悩んでいた時、私達の学校で、「夜回り先生」で知られる水谷修先生の講演会がありました。 夜の街にはいじめや家族環境により少年犯罪や薬物に走った若者達が多勢います。水谷先生は「夜回り」と称して毎晩夜の街をパトロールしながら若者を護っています。ここにも若者の心の闇が存在しているのです。 水谷先生の様々な体験談を聞いていた私はこんな言葉に心を奪われました。 “みんなは大事な花の種です。だから勝手につみ取ったり枯らしてはいけない。なぜならみんなは輝く権利があるからです。暗闇の中のニセモノの光りでなく、太陽の光をたくさん浴びて、本物の光りの中で、自分だけの花を咲かせてください” 「自分にも、輝く権利がある…?」 この言葉は私の胸に強く残りました。ありのままの自分でいいんだと言われたような気がしたからです。 家に帰って、両親に話してみると、両親はこう言いました。 『友達ももちろんそうだし、同じ仕事の仲間だったり、家族だったり…、大切だと思える人がいれば、その人たちにたくさんの愛情をもらって心は強くなるんじゃない』と…。 私は思いました。 いじめたりいじめられたりする若者も、夜の街で薬物を求めさまよう若者も、少年犯罪に手を染める若者も…。私達が抱える『心の闇』の裏側に、“かまって欲しい”“私を見て欲しい”“愛情が欲しい!”という寂しさがあるのではないかと。私達の、私自身の、『心の闇』を消し去るのは、時に優しく温かい時に厳しく誠実な言葉、つまり愛情なのです。 私のいる鹿部中学校の生徒は、皆明るくニコニコしていて、元気な挨拶が毎日飛び交っています。一見、悩みなどないかのように元気です。しかし、実際の心の中はどうでしょうか。自分に少しの不安も持たずに毎日過ごしている人はいないはずです。そんな時、一人ひとりの心を強くしてくれるのは、支えあえる仲間だと思います。相手の心をわかろうと努力し、優しさを与えあう事が出来れば、どんなに辛い事も、 きっと乗り越えることが出来ると思います。一緒にいるだけで落ち着く、安心できる仲間や家族がいることで、色々な事に自信を持ってチャレンジ出来るのではないかと思います。 私達には、輝く権利があるのですから。 |