最優秀賞(北海道知事賞)



後志支庁地区 岩内町立岩内第一中学校 3年 熊野 遙華くまの   はるか

題 『共に生きる』

 どんな人達とでも互いに手を取り合って生活する。
 今のままでは、私はそれをとても難しい事だと思うのです。 現に「差別」という言葉がこの社会には存在しています。 そして、自分と異なる人間と判断した相手に対し、偏見の目や心を持って接している人が 実際にいるのです。では、どうすればこの「差別・偏見」がなくなるのでしょうか。
 私の弟は、難病を抱え障害と共に生きています。私がドナーとなり、 骨髄移植という手術を受け、命の時間は延びました。しかし、完治ではありませんでした。 知的障害・聴覚障害・体の内部や外部にも障害が残り、今もこの先もずっと、 闘っていかなければなりません。そんな弟を見る、 周りの人達の視線にどこか冷たさを感じてしまう事が、多くあります。 一生懸命に生きている弟なのに、家族で出掛ける時には無知な周りからの冷たい視線を受けます。 「かわいそうに」「気持ち悪い」更にはじろじろと見てきたり、 小言で何かを言ったりと、まるで汚いものを見て笑うかのような、そんな視線です。 私たちはただ道を歩いているだけなのに。
 実際にこのような人が現実の社会にいるのです。 私は、こんな行動は間違っていると思います。障害を抱えている人を、 その人の中身を知ろうともせず、外見だけで判断する。 これは人として、最低な行為なのではないでしょうか。 もしも、私が弟の立場になったとしたら、苦しくて悲しくてどうしようもない気持ちになるでしょう。 きっと、周りの全てが敵に見え殻に閉じこもり、 心のない自分になってしまうと思います。しかし、弟は毎日を笑って過ごしています。 「ねぇ、みんな、笑って」というかのように。自分が一番つらいはずなのに、 何も疑わずに周りの人へどんな時でも笑いかける。 そんな健気な弟を見ていると、やりきれない気持ちがいつもこみ上げてくるのです。
 何故、そのようなひどい事をするのでしょうか。 何故、差別や偏見の目で、こんなに頑張っている人達を見るのでしょうか。 それは相手の事を考える気持ちが足りないからではないでしょうか。 自分にとっては、些細な行動・言動も、言われた側の立場に立ち どんな気持ちになるかを考えれば冷たい言葉もでてこないはずです。 むしろ、「頑張ってるね」「すごいね」「応援するよ」などの励ましの 言葉がでてくるのではないでしょうか。
 どうか、頑張っている人を見て下さい。闘っている人を応援して下さい。 一生懸命に立ち上がろうとしている人に手を差し伸べて下さい。 皆が、どんな相手に対しても理解し、思いやる心を持つ事で この社会はより良いものとなるはずです。 互いに認め合い、互いに尊重し合い、互いに通じ合う。 そんな社会は一人一人の心で実現するでしょう。人と人とが助け合って、 「共に生きる」。そんな素晴らしい未来をつくる事ができる。私はそう、信じています。