上川支庁地区 上川町立上川中学校 2年
田村 凌希たむら りょうき

題 『死と向き合っている人へ』


  「死にたい。」
  そう思っている自殺志願者が、日本には数千人いると言われています。彼らは皆、生きる意味を見失っているのだと思います。命あるものには、必ず終わり、つまり死がやってきます。その終わりを早める必要などありません。人生は、一度きりの夢のようなものです。その夢から醒めると、もう二度と同じ夢を見ることは、できないのです。誰だって、嫌な夢を見たくありません。嫌な夢を見たら、早く醒めてほしい、そう思うはずです。でも、そこで逃げてはいけません。楽あれば苦があり、苦あれば楽があり。例え一時、悪夢でも、その後には、必ず幸せな夢があるのです。
  自殺志願者が、死を望む理由は、その多くが、経済的、精神的に追い込まれている、というものです。借金が返せなくなった、家庭でうまくいっていない、といったものが多いようです。彼らは、言います。
  「生きることにつかれた。」と
  自殺、それはいわば、生きることから逃げること。逃げているだけでは、現状は変わりません。じっと耐えることで、変わっていくのだと、僕は思います。
  僕も、一度だけ、死にたいと思ったときがありました。それは、学校でうまくいっていないときでした。友達と喧嘩して、暴言を吐き、先生にどやされて。色々な事で、追い詰められていきました。どうやって死のうか、色々考えました。しかし、思いとどまることができました。それは、あるTV番組がきっかけでした。その番組では、自殺志願者に向けたメッセージが放送されていました。
  「あなたが今、もし、銃口を自分に向けた銃を握っているのなら、指に少し力を入れるだけで、この世とお別れです。でも、私を見てください。」
  そう言って、TVの人は、体中の火傷やアザのあとを見せました。
  「私は、いじめを受けて、こんなに惨めな姿になりました。でも、こうやって生きています。私の方が惨めだ、という人は、私の所に来てください。そして、話し合いましょう。いつでも待っていますよ。」
  この人が話し終えた後、盛大な拍手をもらっているのを見て、思いました。人生とは、決して悪いことばかりではないのだと。
  僕は、あの人に生きる勇気をもらいました。今度は僕が、かつての僕のような人に言う番です。自殺したくなる気持ち、よく分かります。逃げたいと思う気持ち、よく分かります。でも、だからこそ言いたい。自殺しないで、と。ここで死ねば、楽になれるかもしれない。でも、あなたの死で悲しむ人がいる、ということを知ってほしいのです。自ら命を断つ、ということは、とても惨めなことです。死んだら天国に行ける、と思っている人もいるかもしれません。でも、死ななくても、天国には行けるのです。耐えて、耐えて、耐えぬいた先にこそ、今という天国がそこにはあります。
  今、生きている、この平和な世界である天国が…。