北海道青少年のための200冊
平成28年度新たに選定された50冊

幼児の部
 小学校1年生の部   小学校2年生の部   小学校3年生の部 
 小学校4年生の部   小学校5年生の部   小学校6年生の部 
 中学生の部 
高校生・勤労青少年の部

* 幼児の部 *

はっきょいどーん

講談社
やまもとななこ 1,400円(税抜)
 待ったなし!優勝を決める大一番。最強の横綱武留道山に挑むのは、小結明の海。みあってみあってはっきょいどーん!果たして、どちらが勝ったのでしょうか。短い言葉と迫力ある絵でテンポよく進む、臨場感たっぷりに描かれた大一番。相撲の魅力を伝える。

もうぬげない ブロンズ新社
ヨシタケシンスケ 980円(税抜)
 服が上手に脱げないぼく。でも、お母さんに脱がされるのだけは嫌。このままずっと脱げなかったらどうしよう。きっと脱がなくたってどうにかなるはず!あれこれいろいろ考えるうちにだんだんお腹が寒くなってきて…。ぼくの心の葛藤をユーモラスに描いたお話。

ぼくのたからもの

アリス館
鈴木まもる 1,400円(税抜)
 ある日、主人公ジュンの家にメジロが巣を作った。メジロのヒナは、母鳥からえさをもらい、やがて大きくなって飛ぶ練習を始める。ジュンは、そんなヒナの様子を自分や妹の成長と重ねながら近くで見守る。命の誕生と成長を優しく見守る家族の心温まる物語。

ゴリラのおとうちゃん

こぐま社
三浦太郎 1,200円(税抜)
 のんびり木陰でお昼寝中のゴリラのおとうちゃん。そこへ、かわいいゴリラの子どもがやってきて…。ゴリラのおとうちゃんは子どもを軽々と持ち上げ、ダイナミックな技を披露。読んで楽しい、やって楽しい、からだ遊びの技がいっぱい!親子のスキンシップ絵本。

トップへ戻る

 

* 小学校1年生の部 *

ちっちゃなサリーはみていたよ
ひとりでもゆうきをだせたなら

岩崎書店
ジャスティン・ロバーツ(ぶん) 
クリスチャン・ロビンソン(え)
1,400円(税抜)
 サリーはクラスで一番小さな女の子。サリーは、みんなが見て見ぬふりをしているいじめを見て心を痛めていた。ある日、クラスの問題を解決するためにサリーは立ち上がる。本当にそれでいいのかな?ほんの少しの勇気と声がやがて大きな力となることを伝える。

みずたまのたび

西村書店
アンヌ・クロザ(さく) 1,300円(税抜)
 猫の水入れに残ったみずたま。みずたまは、水のつぶとなってどこへ行くのだろう?お日さまのおかげで、空に舞い上がり雲になって雨になり、今度は土の中へ…。地球をめぐる水のふしぎな冒険。科学の面白さを伝える。

むねがちくちく

童心社
長谷川集平 1,400円(税抜)
 私とリリちゃんは日曜日に遊ぶ約束をした。動物園で待ち合わせのはずだけど、全く来る気配のないリリちゃん。ちょっとした気持ちの行き違いでケンカをしてしまい、心が傷ついてしまった私。でも自分の心をもう一度見直してみると…?自分と友達を見つめる本。

ライフタイム 
いきものたちの一生と数字

ポプラ社
ローラ・M・シェーファー(ぶん) 
クリストファー・サイラス・ニール(え)
1,500円(税抜)
 アゲハチョウがみつをすう花の数は?キツツキが木にあける穴の数は?読むとわかる、生きものたちの一生にかくされた驚きの数。グラフィカルな絵で描かれたユニークな数字の科学絵本。

トップへ戻る

 

* 小学校2年生の部 *

カボチャのなかにたねいくつ?

フレーベル館
マーガレット・マクナマラ(作) 
G.ブライアン・カラス(絵)
1,300円(税抜)
 先生が教室に持ってきた大・中・小の3つのカボチャ。それぞれ種はいくつあるのだろう。みんなで予想を立てて調べてみた。そして、わかったこととは?考える醍醐味、追求する面白さを伝えると同時に、ありのままの自分のよさにも気づかせてくれるお話。

ドングリ・ドングラ

くもん出版
コマヤスカン(作) 1,200円(税抜)
 ある日、遠くの島が火を噴いた。それを見たドングリ達はそこへ向かってみんなで長い旅に出る。「ドングリ、ドングラ、ドングリ、ドングラ〜」と海を越え、たどり着いた島でのドングリ達の使命とは?地球上の植物の営み、役割を伝えるお話。

みんなからみえないブライアン

くもん出版
トルーディ・ラドウィッグ(作) 
パトリス・バートン(絵)
1,400円(税抜)
 ブライアンはクラスで目立たない男の子。転校生ジャスティンとの出会いによって少しずつ変わっていく。ひとりだけモノクロで描かれていたブライアンがだんだんと色のある存在となって描かれる。小さな優しさ、ちょっとした勇気で人は変われることを伝える。

だいすきなマロニエの木

光村教育図書
オーサ・メンデル=ハートヴィッグ(文) 
アネ・ダスタフソン(絵)
1,400円(税抜)
 少女には大好きなマロニエの木があった。しかし、春が来ても花を咲かせないマロニエの木は、切られることになってしまった…。木を守ろうと少女は動き出す。そこで起きた不思議な出来事とは?少女と木の友情を通し、命のつながりを伝えるファンタジー。

かぞえる

復刊ドットコム
楠田枝里子(作) 
飯野和好(画)
2,200円(税抜)
 4歳と5歳の子どもがおもちゃの数を比べて、食べたソフトクリームの数も比べる。比べるうちにケンカになって…。数は多ければ多いほどいいのかな?数えられることもあるけど数えられないこともある。数えることにも人の心が大切だと気付かせてくれるお話。

トップへ戻る

 

* 小学校3年生の部 *

ぞうのなみだ ひとのなみだ

アリス館
藤原幸一 1,400円(税抜)
 世界で減り続けている野生ゾウ。小ゾウのポロンは、大好きなお母さんが銃で打たれて一人ぼっちになってしまった。ゾウと人は一緒に生きていけないのだろうか?大切な命について考えさせられる一冊。ゾウの表情をとらえた写真がきれい。

目の見えない子ねこ、どろっぷ

講談社
沢田俊子(文) 
田中六大(絵)
1,300円(税抜)
 つぐみの家に迷い込んできた子猫は、病気で目がつぶれていた。命を助けるためには目玉を取らなければならない。迷う母に「子猫が私だったらどうする?」と問いかけるつぐみ。小さな命に向き合うなかで引っ込み思案だった少女が成長していく物語。

ダンゴウオの海

フレーベル館
鍵井靖章(写真・文) 1,400円(税抜)
 東日本大震災から3週間後の岩手県の宮古湾。魚がいなくなった海の底で一匹のダンゴウオが、流されてきた生活用品を巧みに利用して命をつないでいる。写真でとらえたダンゴウオの姿は、力強さと未来への希望を伝えている。

あまのじゃくにかんぱい!

童心社
宮川ひろ(作) 
小泉るみ子(絵)
1,100円(税抜)
 ちょっぴりあまのじゃくなおばあちゃんは、孫たちのために「いじわる教室」を開くことにした。草むしり、洗濯、お風呂たき、竹馬など、初めはうまくいかなくて…。でも、一生懸命やることで、「心がすっきりする」ことに気付く。大好評のかんぱいシリーズ。

トップへ戻る

 

* 小学校4年生の部 *

ノックノック みらいをひらくドア

光村教育図書
ダニエル・ビーティー(文) 
ブライアン・コリア―(絵)
1,400円(税抜)
 大好きなパパが突然ぼくの前からいなくなった。いつも部屋をノックしてくれるパパはもういない。父を愛する息子と息子を愛する父の思いが心に響く物語。パパから届いた手紙を読んで、ぼくは、自分で未来を拓くためにドアをノックする。

お昼の放送の時間です

ポプラ社
乗松葉子(作) 
宮尾和孝(絵)
1,200円(税抜)
 ずっと憧れていた放送委員になれた4年生のかえで。でも一緒に担当することになったのは、お調子者のこうへいで…。初めはうまくいかなかった二人だったが、次第に気持ちが合うようになって評判の放送に。相手の気持ちを考えることの大切さを教えてくれる本。

タンチョウのきずな 
「日本の鶴」の一年

小学館
久保敬親(写真と文) 1,300円(税抜)
 タンチョウ鶴の子育ての一年を美しい写真とわかり易い文章で紹介した写真科学絵本。釧路湿原やその周辺で、人工給餌によって身近に見られるようになったタンチョウ。でも、まだまだ保護が必要なことを北海道在住の著者が伝えている。

2分の1成人式

講談社
井上林子 新井陽次郎(絵) 1,300円(税抜)
 小学4年生のユメは、勉強も習い事もあまり得意ではない女の子。ある日、学校で「2分の1成人式文集ノート」が配られて、ユメはノートを書く中で調査を始めた。10歳までの自分、10年後の自分について考えるきっかけになる本。

トップへ戻る

 

* 小学校5年生の部 *

大津波のあとの生きものたち

少年写真新聞社
永幡嘉之(写真・文) 1,400円(税抜)
 津波のあとの海岸を歩き続け著者が出会った数々の生き物たち。最近ではすっかり姿が見えなくなっていた、昆虫や植物と再び出会えた喜びを写真に収めていく。しかし、復興が進み、次第に生き物たちの住みかは奪われていった。

北国からの動物記 エゾリス

アリス館
竹田津 実(文・写真) 1,400円(税抜)
 動物記シリーズもいよいよ9作目。診療所によくやって来るようになったエゾリスとの4年間を綴った作品。日本リスより少し大きく、背中の赤褐色の毛が特徴のエゾリスの習性や子育ての様子がよく分かり、かわいらしい写真も魅力的な1冊。

自転車少年(チャリンコボーイ)

くもん出版
横山充男 黒須高嶺(絵) 1,500円(税抜)
 3度目の転校先で自転車をきっかけに新しくできた友達。気が付けば、8.5キロのコースを3人組のチームで2周する自転車のタイムトライアルレースに参加することになった。ダントツ優勝候補の南小のチームに勝つために、どう挑むのか。小学生男子の青春物語。

トップへ戻る

 

* 小学校6年生の部 *

生きる 劉連仁の物語

童心社
森越智子 谷口広樹(絵) 1,600円(税抜)
 中国から連れ去られ北海道で過酷な炭鉱労働をさせられた劉連仁さん。そこから逃亡し、地理も言葉も分からない中、冬の北海道を逃げること13年。故郷に帰りたいという強い気持ちのみで必死に生きた長い道のりを描いた物語。

イスタンブルで猫さがし

ポプラ社
新藤悦子(作) 
丹地陽子(絵)
1,300円(税抜)
 友人関係に疲れていた、愛。「トルコの美しい猫に会いたいから」と本当の理由を隠して、父の仕事の赴任先、イスタンブルの学校へ転校します。そこで、できた友人と猫を探すうちに本当の自分というものを見つめ始めます。少女から大人への心の成長を描く1冊。

夢見る犬たち 五番犬舎の奇跡

金の星社
クリフ・マクニッシュ(作) 1,400円(税抜)
 保護された動物たちがたくさんいる、ハッピーポーズ。中でも五番犬舎に集まる犬は、顔に傷があったり、吠えて人を噛んでしまったりと少々わけあり。それでも、新しい飼い主が見つかることを夢見て待ち続ける彼ら。幸せを信じて諦めない心が奇跡を起こす。

戦火の三匹 
ロンドン大脱出

徳間書店
ミーガン・リクス(作) 1,600円(税抜)
 1939年、英国がドイツに宣戦布告。人々は不安におびえ、子どもたちを田舎に疎開させたり、動物シェルターにペットを連れて行ったり…。戦時下の英国で40万匹以上のペットが殺された事実に基づいた物語。ペットの視点から戦争を見つめる。

ガラスのベーゴマ

朝日学生新聞社
槿なほ(作) 
久永フミノ(絵)
1,200円(税抜)
 弟、あおいのぜんそく治療のために東京から九州へ転校することになった兄、蓮人。長い通学路を歩いていると、なぜかあおいのことを「みちよ」と呼ぶ同級生のおじいさんに出会う。不思議に思った彼らは秘密を探り始めると…戦争がもたらしたものを見つめていくことになっていく。

トップへ戻る

 

* 中学生の部 *

赤いペン

フレーベル館
澤井美穂(作) 
中島梨絵(絵)
1,400円(税抜)
 昔は海運で栄え、今でも運河や当時の倉庫などが残る町で囁かれる不思議な噂。物語を集めながら人から人へと渡り歩くという「赤いペン」。その謎を追う中学生の夏野と彼女を助ける個性的な人たち。ペンとかかわった人々の懐かしくも愛おしい5つの物語。

風のヒルクライム 
ぼくらの自転車ロードレース

岩崎書店
加部鈴子 1,300円(税抜)
 13歳の誕生日に好きでもないロードバイクを父から贈られた涼太は、勢いでレースに出ることになってしまう。ライバル視される同じ学校の生徒や、ママチャリの高校生、同学年の女の子と知り合う。彼らはそれぞれの思いを胸にひたすらペダルをこぎ続ける。

川床にえくぼが三つ

小学館
にしがきようこ 1,400円(税抜)
 中学2年の文音は友人の華と一緒に、親戚のお姉さんについてインドネシアに行った。化石の発掘調査に初参加の文音はある物を発見し「ラッキー・ガール」と呼ばれるが…。初めての海外で少女が出会ったカルチャーショック。夏休みの冒険と友情の物語。

岬のマヨイガ

講談社
柏葉幸子 さいとうゆきこ(絵) 1,500円(税抜)
 会ったこともない親戚にひきとられる萌花ちゃんと、同じ電車に乗っていた萌花ちゃんが気になって狐崎の駅に降りたゆりえさん。ふたりは巨大な津波に呑みこまれたまちの避難所で山名キワさんと出会い、一緒に暮らす。東北の民話を織り込んだファンタジー。

すぐそこに、カヤネズミ 
身近にくらす野生動物を守る方法

くもん出版
畠佐代子 1,400円(税抜)
 大人の親指ほどしかない小さなカヤネズミは、川の河川敷や田んぼなど、わたしたちの身近な場所に住んでいる。人間の開発により絶滅のおそれがあるカヤネズミについて、生態や開発の実態を写真や図を交えて説明し、ともに生きる方法を提案している。

コービーの海

鈴木出版
ベン・マイケルセン(作) 1,600円(税抜)
 フロリダの壮大な自然のなか、座礁したクジラの親子を助けた義足の少女コービー。クジラたちはコービーに心をゆるし、信頼し合う友情が生まれる。新しい友だちもでき、4年間、義足であることを受け入れられずとまっていたコービーの人生が、また動き出す。

美雨13歳のしあわせレシピ

ポプラ社
しめのゆき 高橋和枝(絵) 1,400円(税抜)
 美雨が学校から帰ると、お母さんは家出していた。家事などしたこともないお父さんが超本格的な料理をしていた。お父さんと語り合い、今までのことを思い出すうちに見えてきたものや友達との関係など少女の等身大の姿が描かれている。

きみ江さん 
ハンセン病を生きて

偕成社
片野田 斉 1,600円(税抜)
 「ハンセン病」はかつて不治の病、遺伝病と考えられ、患者や家族は差別や偏見に苦しめられてきた。1996年に「らい予防法」が廃止されたあとも続く差別を、元ハンセン病患者であるきみ江さんの生い立ちから現在まで描くことで、浮き彫りにする。

渋谷ギャル店員 
ひとりではじめたアフリカボランティア

金の星社
栗山さやか 1,300円(税抜)
 渋谷のギャル店員が友人の死と自らの病をきっかけに世界へ旅立つ。約60か国を旅し、たどりついたアフリカで、著者は目を背けたくなるような現実に直面する。貧困や病気で苦しむ人が頼れる場所を作るために今なお活動を続ける日々が書かれている。

ぼくたちに翼があったころ 
コルチャック先生と107人の子どもたち

福音館書店
タミ・シュム=トヴ(作) 
岡本よしろう(画)
1,700円(税抜)
 ワルシャワに住む「ぼく」は、コルチャック先生の孤児院に入ることになった。ポーランド人だが、ユダヤ人の子どもたちとともにナチスの収容所で亡くなったコルチャック先生の「孤児たちの家」を、架空の少年を主人公に大戦勃発数ヶ月前まで描いた作品。

ABC! 曙第二中学校放送部

講談社
市川朔久子 1,500円(税抜)
 曙第二中学校放送部には3年生が2名しかいない。主な校内放送は放送委員の仕事であり、存在感のない部なのだが、新しい顧問の先生と厳しい担任のせいで、新しい活動と新入部員を増やさなければならなくなる。もがきながらも成長していく中学生の物語。

夢へ翔けて 
戦争孤児から世界的バレリーナへ

ポプラ社
ミケーラー・デプリンス 
エレーン・デプリンス
1,600円(税抜)
 内戦の続く西アフリカのシエラレオネで生まれた少女は幼くして両親を失い、孤児院にひきとられた。苦労の末にアメリカに渡り、今度は黒人への差別・偏見と闘いながらバレリーナになったミケーラ・デプリンスが、養母のエレーンと綴った実話。

たまたまザイール、またコンゴ

偕成社
田中真知(著) 2,300円(税抜)
 エジプト・カイロに住んでいた著者は、1991年、ザイール河を妻と二人で下り、様々な体験をする。その後、ザイール共和国はコンゴ民主共和国になり、河もコンゴ河に名を変えた。2012年、今度は少年とコンゴ河を下る。紛争や人間のパワー、文化の違いをとらえた記録。

トップへ戻る

 

* 高校生・勤労青少年の部 *

Masato

集英社
岩城けい 1,200円(税抜)
 父の仕事により家族全員でオーストラリアで暮らすことになった真人。地元の公立小学校へ編入するが英語がまったく出来ないためにいじめにあう。言葉の上達とともに周りに溶け込んでいく真人と反対に母親は…。異文化の中で育つ(生きる)少年と家族の成長物語。

颶風の王

KADOKAWA
河ア秋子 1,600円(税抜)
 明治の東北、雪山で愛馬とともに遭難した妊婦は、愛馬の血肉を喰らうことで自分と子の命をつないだ。成長した子は愛馬の血を引く馬と開拓の夢を抱いて北海道へ渡る。根室地方の厳しい自然と運命に翻弄されながらも、馬を育て馬とともに生き抜いた家族6代の物語。

水曜日の凱歌

新潮社
乃南アサ 1,800円(税抜)
 敗戦の11日後に国家が設けた占領軍用の慰安施設「RAA」。慰安婦として集められた女性たちの過酷な運命と、英語が出来ることで施設の事務方として働く母への複雑な感情。14歳の鈴子の目を通して終戦間際の、敗戦直後の社会と、女たちの生き延びる戦いを描く。

国境のない生き方 
私をつくった本と旅

小学館
ヤマザキマリ 740円(税抜)
 『テルマエ・ロマエ』で知られる漫画家が人生の伴走者としての本と旅を語る。14歳でのヨーロッパ一人旅を皮切りに旅した国、住んだ国は数知れず。既成サイズでは計りきれないその行動力には、好奇心と知的欲求と他者への熱い信頼感が溢れている。

骨風

文藝春秋
篠原勝之 1,650円(税抜)
 室蘭栄高校3年17歳の冬、父の激しい暴力に耐えきれず家出した少年は、後に「ゲージツ家・クマさん」となる。植物状態の父との再会、老いてゆく母との時間、音信不通だった弟の死、仕事場の山里の暮らしや友人たちとの交流。淡々と綴られる物語が切ない。

ぼくたちは戦場で育った 
サラエボ1992-1995

集英社インターナショナル
ヤスミンコ・ハリロビッチ(編著) 2,100円(税抜)
 ふつうの人々が暮らす町が突然戦場になった「サラエボ包囲戦」。4年に及んだ戦争の中で育った子どもたちが、20年後の今、「戦時下の子ども時代」を語る。そこには教科書で学ぶ戦争、報道映像で見る戦争とは違う恐怖、意外な日常が素直な言葉で綴られている。

厭世マニュアル

KADOKAWA
阿川せんり 1,400円(税抜)
 小学生のときのマスク姿から「口裂け女」とからかわれ、以降マスクが手放せず自称「口裂」のみさと。数々のトラウマから人との関わりを避けて暮らしているが、お節介な知人たちにより人と向き合うことに。みさとの「普通の人」への挑戦の結末は痛快である。

神さまたちの遊ぶ庭

光文社
宮下奈都 1,500円(税抜)
 北海道を熱烈に愛する夫の希望で、福井県から大雪山国立公園内にあるトムラウシに一年間移住した一家。家族5人が体験するカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)の圧倒的自然と個性的な住人たち。そして、宮下家の3兄妹の成長が桁外れの面白さで迫るエッセイ。

トップへ戻る