DRUG story
 
 都内の名門女子高校に通う高階沙耶香(17歳、黒須麻耶)は、学校で同級生 のいじめに苦しんでいた。しかし、出版社に勤務しテレビのコメンテーター として活躍する沙耶香の母(高橋惠子)と広告代理店に勤務する父(蟹江敬三)は、 仕事に追われ家庭をかえり見る余裕もない。 ましてや娘の悩みなど知る由もなかった。

 学校にも家庭にも居場所を失った沙耶香は、ある日、渋谷の街に 降り立った。そこで沙耶香はふとしたきっかけから県立高校に通う小田島健治 (徳山秀典)と知り合った。健治は沙耶香を渋谷の街が一望できるビルの屋上に 誘い、クラブのVJ(DJのヴィジュアル版、クラブで映像を映す役)になる 夢を語った。いつしかこのビルの屋上が二人の聖域となっていった。

 しかし、健治は一旦家に帰ると名門大学に進学を希望する親の圧力に 苦しんでいた。いつしか健治は、覚醒剤を使用していたクラスメートから勧め られるままに覚醒剤に手を出してしまう。

 一度クスリに手を染めた健治の身体と心は荒廃の一途をたどるばかり だった。健治の周囲にも、覚醒剤に安易に手を出したものが多く、それぞれの 心身に異常を来たし、幻覚や幻聴の症状に苦しみ、クスリ漬けの状態から 抜け出せず、中には死を迎えるものもいた。

 健治を麻薬禍からす救うべく必至の沙耶香ではあったが、そのかいも なく健治もやがて……。

 絶望した沙耶香も健治の後を追おうとするが、それを救ったのは、 娘の異変に気付き、自らの仕事や地位を投げ捨てても子を救おうとする、 親の愛だった。