最優秀賞(北海道知事賞)



後志支庁地区 寿都町立寿都中学校 3年 石王 凱騎いしおう   よしき

題 『今、生まれ変わる』

  今、自分が生まれ変わろうとしています。 有名人になるとか、180度人格が変わってしまうとか、 そんなスケールの大きなものではありません。変わろうとしているのは中身、 つまり、「自分の心」を変えようと、必死に今、努力しているのです。
  きっかけは8ヶ月前でした。僕は恵庭という町に、家族3人で住んでいました。 母と、弟、そして、僕。父は僕が小学生の時に離婚。母はほぼ毎日仕事で、 僕が弟にごはんを作ってやる生活が続いていました。
  そんなある日、僕に異変が起きました。学校に足が向かなくなったのです。 別にいじめられているわけでもない、ただとにかく、学校が面倒くさい。 朝起きるのがつらい。たったそれだけの理由で、学校をさぼるようになってしまったのです。
  母親や先生は、僕を学校に行かせるために必死でした。 母親は学校の先生に相談したり、先生が家庭訪問に来たり・・・。 でも僕は、学校へは行きませんでした。
  やがて母親は病気になりました。安心して仕事にも行けず、倒れてしまったのです。 それがきっかけで、僕は施設に入ることになりました。嫌で嫌で仕方なかった、 寿都という、聞いたこともない場所の施設へ。
  寿都での暮らしは、恵庭と違って住みにくい。 最初はそんな気持ちで生活していました。「恵庭に帰りたい。」 そんな気持ちでいっぱいの日々。そこではじめて、僕はこんな悩みを持ち始めました。 「どうして僕は学校に行かなかったんだろう・・・。 なんで母さんをあんなに困らせたんだろう・・・!」
  僕が変わろうと決意したきっかけ、それは、 あのとき理由もなく悪い方向へ行ってしまった自分に対する後悔です。
  寿都に来てから、もう8ヶ月。今は、カゼ をひいたりしないかぎり、絶対に学校を休む事はありません。 3年生になってからは、学級役員にもなりました。 あんなに足が向かなかった学校という場所で、 今僕は、クラスの中心として頑張れている。恵庭でもやっていた、 けれど面倒くさくて投げ出していた野球にも、寿都の野球部でもう1度挑戦しました。 中体連はたった1打席の出番だったけれど、無心で振ったバットに球が当たり、 最初で最後のヒットを打てた。この瞬間のよろこびは、絶対に忘れることはないでしょう。
  8ヶ月前、あんなにだらけていた、引きこもりのような生活から、 僕は自分で抜け出すことができたのです。
  僕は今、伝えたいことが2つあります。 ひとつは、昔の僕と同じように、ただ何となく日々を過ごしている人たちへ。
  人間は変われます。
  すべては心の持ちようです。どんなに辛いことがあっても、 そこから逃げてはいけない。あきらめてはいけない。 苦しくても、ちょっとがんばって、前を見てみよう。 そうすれば、自然と心も笑顔に変わります、 そして、どんなことでも、また頑張れるようになるはずです。
  もうひとつは、今は会えない、弟、そして……母さんへ。
「今まで迷惑をかけてごめん。俺いま、頑張っているから。母さん、心配しないで。」
  この言葉を言える日を、ずっと待っていました。 どんなに辛くても、前を見て、必死に努力してきました。 そしてこれからも、いつまでも、努力をしつづけよう。
  今、自分が、生まれ変わろうとしています。