![]() ![]() 留萌地区 増毛町立増毛中学校 2年 題 『未来への意味』 |
「そんなことしても、意味ねえぞ!」 この1年間、僕の頭からずっと離れなかった、この言葉。 この言葉は、今から約1年前必死に港のゴミ拾いをしていた僕たちに向けて、 地元の漁師さんから向けられた、予想もしなかった一言でした。 そして、僕は、この一言によって、「自分たちのしていることは、 本当に意味のないことなんだろうか?」という大きな疑問と、1年間、向き合うことになったのです。 僕たち増毛中学校は、港や海水浴場、街中に無造作に捨てられている ゴミを何とかしたい、という思いから、毎年、生徒会が中心となって、 クリーン作戦を実施しています。特に、昨年は小学校や高校とも協力し、 全町でクリーン作戦を行いました。 その全町クリーン作戦で、増毛の港を清掃する班がありました。 港に散乱した、空き缶や釣り糸など、たくさんのゴミを拾っていたところへ、 一人の漁師さんが近づいてきて、「何しているんだ?」と声をかけられました。 すぐに「クリーン作戦です。」と答えました。当然、ゴミを拾っていることをほめられるか、 励ましの言葉をもらえるものとばかり思っていたところにまさかの一言が返ってきました。 「そんなことしても意味ねえぞ!」 「どうしてですか?」 「どうせ今ゴミ拾いしたって、魚釣りに来た人や観光客たちが、 またゴミを拾てていってしまうから意味ねえんだ!」 返す言葉が見つかりませんでした。この漁師さんが言っていることは 仕方のないことだと思いましたが、では、自分たちがやっていることは、 どうなってしまうんだろうという思いで、どう考えればいいか、 わからなくなってしまったのです。それでも、ゴミ拾いを続け、 大量のゴミを拾い終えて学校に戻りました。 全町でのクリーン作戦は、大成功に終わり、その後も、 ゴミを捨てないように呼びかける看板を港や海水浴場に設置したり、 環境を守る意識を高める標語を作ったりと、活動を続けてきました。 しかし、僕の頭の中には、あの漁師さんの言葉がずっと残っていたのです。 そして、「自分たちの活動は本当に意味がないのか?」という疑問に対する答えも、 見つからないままでした。 そして迎えた今年の6月、今年度の全町クリーン作戦に向けて、 ある講演会が開かれました。講師はモンゴル出身で小平町教育委員会に勤務している プルブ・ジャブさんでした。モンゴルの自然やボランティア活動についてのお話を聞いた後、 質問の時間になりました。僕は、ここで、勇気を出してあの漁師さんとのできごとを話し、 どう考えればいいのか、質問しました。 プルブ・ジャブさんは、こう答えてくださいました。 「今に意味がなくても、未来に意味がある。」と。 この言葉をもらって、僕は、また今年の全町クリーン作戦に臨みました。 確かに、毎年毎年、どんなにゴミを拾っても、翌年にはまたゴミが大量に落ちているのが現実です。 それでも、毎年、少しずつゴミは減ってきています。 全町でクリーン作戦を行う事によって、ゴミを捨ててはいけないと思う人が増えれば、 未来には、ゴミのない美しい増毛町を作ることができるかもしれません。 今の僕たちが、未来をつくっているんだという、大きな意味をもって、 僕たちはこれからもゴミを拾い続けます。 もし、今後、「そんなことしても意味ねえぞ!」と言われたら、 僕たちは胸をはって答えます。「今に意味はなくても、未来に意味があります。」と。 |