![]() ![]() 釧路地区 厚岸町立真龍中学校 2年 題 『神様からのプレゼント』 |
皆さんにとって「命」とは、どのようなものですか。 私には、3歳上の兄がいます。兄は、記憶力が優れ、特に一番得意な歴史は、私はまったくついていけません。 漢字もすらすら書けたり、読めたり、とても早く計算をすることもできます。 そんな兄は、「命」という神様からのプレゼントの他に、自閉症という特別なプレゼントももらって生まれてきました。 みなさんは、自閉症という言葉を聞いたことがありますか。自閉症は、「自分を閉じ込める」と書きます。 「うつ病」や「引きこもり」、内気な性格を指して自閉症だと思っている人がいますが、これは勘違いや誤った認識をしています。 自閉症は、人とのコミュニケーション能力に困難が生じる発達性障害の一つで、先天性の脳機能障害です。 症状は、人によってかなり異なり、兄の場合は強いこだわりを持っています。私が兄のことを「優くん」と呼んでいた頃、 兄の症状を何もわからず、パニックにさせてしまい、困らせたことがありました。 その後、母に「優くんは、いつ治るの」と聞きました。母は、小さかった私に脳に障害があること、治らないことなど、 兄の障害について説明してくれました。「ママは、人は人として生まれてきたことが神様からのプレゼントなんだって思うんだ。 優くんは、それに自閉症という特別なプレゼントをもらって生まれてきたんだよ。 唯は、その優くんの妹がいいって、優くんとママを選んで生まれてきてくれたんだよ」と、笑顔で私に話してくれました。 そして、「ママは、自閉症の子供を育てるように神様から宿題をもらったんだ」と。 私は、母と話をした後から兄のことを「優くん」ではなく、「お兄ちゃん」と呼ぶようになり、 そして、障害をその人の個性だと思うようになりました。例えば、目の悪い人は、眼鏡をかけ、足の不自由な人は、 杖をつくなど、それぞれが持つハンディキャップをカバーするものがあれば、生活することができると考え方が変わりました。 しかし、世の中にはハンディキャップを持った人をまるで汚いものを見るような目で見たり、 また、バカにするような事を言ったりする人が残念ながらたくさんいると感じています。 ハンディキャップを持った家族として悔しい思いもしたし、悲しい思いもしました。 私は皆さんに、目の前にそのような人がいたら、まずは優しく見守ってほしいです。 手助けすることは難しいことだと思いますが、見守ることは誰にでもできるはずです。 ハンディキャップを持った人は、自分を理解してくれる人、見守ってくれる人、助けてくれる人が近くにいることで、 この先も頑張ろう、挑戦しようと思えたりもするのです。兄の周りには、そのような同級生や先生方がたくさんいました。 だから、兄は、できることが増え、苦手なことでも挑戦してみる勇気を持つことができました。 苦手なことでも助けてもらえるという安心感が大きな心の支えになったと思います。怒る時は叱り、助ける時は助ける。 たくさんの同級生や先生方に支えられ、兄は理想の生活を送ることができています。兄は、今も元気な自閉症です。 そして、私の大切な、たった一人の兄です。 最後に、障害を持った人も、持っていない人も一人ひとりが生きているということ、そして、 それは神様がプレゼントしてくれた大切な命だということ、意味のない命はないということ、障害者も健常者も関係なく、 誰もが安心して暮らせる世の中になることを、私は願い続けます。 |