優秀賞(北海道PTA連合会会長賞)



留萌地区 遠別町立遠別中学校 3年 丸山 美月まるやま    みづき

題 『苦しみを乗り越えて生きていく』

 『おしばいか、おしばいならいいけどね・・・・・・。現実に、あのテスト結果で次の生き方が決まってしまうんだ。 国造りの神様!私はあんな生き方いやだ!私は六つの型のどれも選びたくない。私は・・・・・・私は、私だけの7番目の 人間型を選びたい。いいでしょう・・・・・・。』
  中学校演劇脚本集9 晩成書房
 「セレクト・ライフ」 作・深沢直樹 より

  私は、去年の学校祭の演劇で、主人公のひろみ役を演じました。今年の学校祭でも、私は、演劇係に入り、ステージの上で、 自分ではない誰かを演じると思います。
  私は、学校では、私の周りの人達に言っていないことがあります。これまで、自分の心の傷を感じながら生きてきました。 「気持ち悪い」とか、「言ってる意味わかんねーし、あいつ違うとこ行けばいいのに」というクラスメイトの言葉に、 とても傷つけられてきました。授業中や休み時間に、自分の悪口を言うのが聞こえてくると、すごく怖い。 なぜ、悪口を言われなきゃならないのか、恐怖と疑問は、私の心の中で混ざり合い、私は混乱してしまいます。
  私には、障害があります。障害の名前は、「高機能自閉症」。生まれた時からもっている障害だと母に言われた時、 私はショックを受けました。
  自閉症には、社会性やコミュニケーション能力、そして、想像力・思考力が欠如するという特性があります。 原因は、よくわかっていません。脳の何らかの機能不全によると考えられています。しかし、知的発達の遅れは伴わず、 IQが70以上ある人達のことを「高機能自閉症」と言います。
  私は自分の思っていることが上手に言えません。言葉がうまく出てきません。出てきても上手に組み立てられないことがあります。 そうして、私が困っていると「言ってる意味わかんねーし」と言われてしまうのです。
  みなさんに、もし、私と同じ障害があったとしたら、どんな行動をしていましたか?
  私は、みんなに私の障害を知られたら、もっと嫌われるかもしれないと不安になります。だから、私は、 自分の障害のことをまわりの人に言うことができません。
  しかし、一緒にいてくれる人達が、辛い時や苦しい時に、励ましてくれることもあります。 私は、演劇で役を演じ、「良かったよ」とほめてもらえるのが嬉しいです。がんばれることが私にはあります。 2年生の時には校内弁論の弁士にもなり、自分の考えをたくさんの人に伝えました。一人で抱え込んで、 心の中で泣き続けるよりも、楽しいことを心の中にもっていた方が、不安は消えていきます。
  確かに、障害者という立場は辛いし、苦しい。
  私は、予定が変更になると、とても不安になります。気になることがあると、大切なことが手につかなくなります。 仲の良い友達には、「ふざけて言ってるのに、なんで美月そんなに怒るの。冗談通じないんだから・・・」と 言われることがあります。しかし、その困難を乗り越えて生きていくことが、私が、私自身の道を歩んでいくことになると思います。
  私は、中学生になり、自分の障害について理解し、今は、薬を飲んでいます。注意力を維持させる薬です。 また、私は、自分の不安が大きくならないように、事前に連絡をしてもらったり、詳しい内容を把握したりするようにしています。
  そして、私はまわりの人たちの存在について考えるようになりました。そばにいてくれる友達が増えました。 両親は私の話を聞いてくれます。自分の、まわりを受け留める、その受け留め方がちょっとずつ変わっていきました。
  障害があってもなくても、人は人と関わり、社会の中で支え合って生きていくものです。
  日本には今、およそ36万人の自閉症の人がいると言われています。高機能自閉症の人も含めると、 120万人にもなると言われています。
  いつか私は、自分の障害のことをまわりの人に伝えて、今までの思いをありのままに全て話してみたいと思っています。 私が話すことで、私と同じように苦しんでる人の気持ちをわかってもらえるかもしれません。
  私の障害は、私の個性のひとつです。そう思える自分が今、ここにいます。
  私は、これから先も、自分の「高機能自閉症」という障害を受け入れながら生きていきます。
  自分の道を、自分の足で・・・・・・。
  それが、私の選んだ、私の生き方です。