![]() ![]() 宗谷地区 稚内市立稚内南中学校 2年 題 『素直に向き合うことの大切さ』 |
私には、今年86歳になるひいおばあちゃんがいる。おばあちゃんはすごく優しいのだが、物忘れがひどい。 その日にあった事や、話した内容もすぐに忘れてしまう。最近おばあちゃんが初期のアルツハイマーだという事が分かった。 それも会う度進行しているらしく、私の知っているおばあちゃんじゃなくなってしまうようですごく悲しくなる。 私のおばあちゃんもいつか今までの楽しかった思い出やうれしかった記憶・・・そして、 私の事すら忘れてしまうのではないかと。それが恐ろしくて最近、おばあちゃんと話すのが辛いと思うようになり、 いつの間にか自分からおばあちゃん所へ行かなくなってしまっていた。 そんな私がある時、人と人との心のつながりについて考えさせられる出来事があった。 それは、お母さんに連れられて、おばあちゃんの家に行ったときのことだ。 「ばあちゃん、今日もありがとうね。楽しかったわぁ、また来るね。」 というと、おばあちゃんは、 「今日もありがとうねぇ。明日もまた、待ってます。」といつもは見せないような笑顔でにこっと笑い、 介護員の人に深々と頭を下げたのだった。 その時の、おばあちゃんの心からこぼれた素直な笑顔がすごく輝いて見えた。衝撃的だった。 正直こんなにうれしそうにして笑っているおばあちゃんを見るのが、すごく久しぶりだったから。 その後、おばあちゃんはその日にあったデイサービスや介護員の人との出来事を、沢山私に教えてくれた。 車の中で、介護員の人とひ孫である私の話をした事、デイサービスで、交流会があった事や、 みんなで一緒に掃除をした事。どれも全部、楽しそうに話してくれた。 こんなにもその日にあった出来事を鮮明に覚えているおばあちゃんをみて、びっくりした。 そして、私は今まで間違った事をしてきたんだと気がついた。 目の前にまだ、こんなにも生き生きしてきらきらしているおばあちゃんがいるのに、 どうせ話しても無駄だと思い、近づきもしなかった自分が、すごくみじめに思えた。 そんな時、私は、新聞記事で、ある認知症の方の言葉に出会った。 「聞いてくれる人」が必要だ。ただ、声を聴くのはあくまで手段。1人1人が何を願い、 求めているかを知り、支援の輪を広げていくことが重要だとのこと。昨今日本では、 65歳以上の4人に1人が認知症かその予備軍とみられている。認知症になっても安心して生きられる 社会にするには何が必要かを考えるべき時代がきている。 今、大切な事、それは、身近にいる家族や地域の人達そして社会が、 心から向き合える関係や心から支える体制を作っていく事だ。だから、私もこれからは、 もっと沢山おばあちゃんと話して、まっすぐ向き合っていこうと思う。私とおばあちゃんも 絶対心と心でつながることができるんだ。おばあちゃんの記憶がどんどんなくなってしまうのなら、 消えていく記憶以上に、沢山楽しい思い出をつくっていければいい。たとえ、私の事が 分からなくなってしまったとしても、心から素直な気持ちでつながっていける、そんな素敵な関係をつくりたい。 「笑顔でつながる心の輪」を!! |