優秀賞(北海道PTA連合会会長賞)



胆振地区 苫小牧市立緑陵中学校 3年 吉岡 美月よしおか   みづき 

題 『はだしの子ども達に未来を』

  私は昨年の夏、中学生国際交流派遣団としてフィリピンを訪問しました。その 研修の四日目の八月三日、私たちはスラム街を訪れました。その光景を目にしたときの衝撃は 今でも忘れられません。
  今にも崩れそうな家々。道を埋め尽くすほどの大量のゴミ。子どもたちのほとんどは靴を履いておらず、 栄養不足のためでしょうか、お腹がぽっこりと張っていました。
  そして一番驚いたのは子どもたちが道に落ちているゴミを拾っていたことでした。そのゴミを売り、 お金に換え、家族のために生活の足しにしているそうです。
  中学生である私は、当然ながら働いたことなどありません。しかし、スラム街に住む子どもたちにとっては、 それが普通の生活だったのです。
  学校にも行けず、満足な食事もとれないスラム街の子どもたち。私はそんな子どもたちを 可哀想だなという思いで見ていました。
  すると、その子どもたちが私たちに気づき、こちらに向かって笑顔で手を振り始めました。
  「えっ、どうして笑顔でいられるの?」それが私の率直な気持ちでした。
  そんな私たちの気持ちを察したからでしょうか。現地のガイドさんが私たちに話しかけました。
  「ここに住む子どもたちは、たとえどんなに貧しい暮らしでも、家族と笑顔で暮らせるだけで幸せなんだね。」
  私は思いました。
  「日本という恵まれた国に生まれた私たちはあの子たちに負けない笑顔で暮らせているだろうか…。」
  私はこの経験を通して、スラム街に住む子どもたちに、自分ができることはないだろうかと考えました。 もし私が大人だったら、募金活動などいろいろなことができますが、今の自分ではそのようなことは なかなか実行できません。しかし、このような機会を得ることができた私だからこそできることが あるのではないかと考えました。
  大事なことは、世界の貧困問題に目を向け感心を持つことです。この派遣事業を通して目にした フィリピンの貧困問題やスラム街の悲惨さ。そして何より、そこで精一杯生きている子どもたちの ことを少しでも多くの人に伝え、知ってもらうことが私にできることだと思います。また、 今の恵まれた環境の中での生活に感謝をして、一生懸命に勉強しなければなりません。そして将来、 ボランティアなどで少しでも世界の貧困に苦しむ子どもたちの役に立てる大人になることが大事だと考えました。
  人は誰もが「人権」を持っています。「人権」とは、人が生まれながらに持つ、 自由と平等のことだと社会科の授業で教わりました。もちろんそれは、スラム街に住む子どもたちも一緒です。 私たちと同じように愛されて生まれ、私たちと同じ空の下で暮らしているはずです。
  しかし、あの子どもたちは、学校にも行けず、自分の好きなこともできません。 自由な夢を持つことだって難しいのではないでしょうか。
  私は今回の派遣を通して、一つの夢ができました。それは、フィリピンのスラム街で 見たような子どもたちの所へ行き、たくさんの夢を与えてあげたいというものです。
  肌や目の色、言葉や宗教など様々な違いはあるけれど、同じ地球で、同じ時を共に生きる仲間として、 手と手を取り合い、支え合いたいのです。
  あのはだしの子どもたちの未来が、夢や希望でいっぱいになることを願って。