優秀賞(北海道青少年育成協会長賞)



十勝地区 帯広市立川西中学校 3年 西野 侑未にしの   あつみ 

題 『アリギリス』

  みなさんは、「アリとキリギリス」という童話を知っていますか。この童話は、アリは冬に備えて働くが、 キリギリスは遊んでばかりで、やがて冬になり食料が無く困ったキリギリスがアリに助けを求めるという話です。 一見、アリが賢くて、キリギリスが痛い思いをしているように感じますが、本当にそうなのでしょか。
  なぜ私は、このような話をしているのかというと、それは今、私が将来のこと、自分の人生について 悩んでいるからです。今やるべきことをやっていくのか、自分が今やりたいことをやってもいいのか。 私は、今やるべきことをやる方がいいと考えていました。そのうちどちらにも長所短所があり、 それを考えてみなければどちらがいいのか分からないのではないかと思い始めました。 そこで、解決の鍵となるのが、「アリとキリギリス」です。
  「アリの人生」を私達中学生の人生に置き換えてみると、受験に備えて勉強するといったところでしょうか。 私達は受験のために勉強を必死にやれば、その結果、自分が行きたい高校に合格することができるでしょう。 やはりアリの人生がいいなと思えてきます。しかし、勉強のためだけに時間を使ってしまったら、 友達との思い出や後輩を引っ張っていく立場から学べることなどを見過ごしてしまい、 せっかく目標の高校に合格したのに、人間関係で悩むことが多くなってしまうかもしれません。
  では、「キリギリスの人生」だったらどうでしょうか。部活がやりたかったら、部活だけを毎日やる。 たまに休日には、一日中ゲームをしたり、漫画を読んだり、音楽を聴いたり、好きなことをして過ごす。 そうすれば、楽しい日々を送ることができるでしょう。キリギリスの人生も悪くないと思えてきます。 むしろ、楽しそうです。
  アリとキリギリスのどちらの人生にも良さはあります。
  ようするに、将来のことを考えて、今やるぶきことをやっていくのも、 自分が思うままに今やりたいことをやっていくのも、どちらも大切ということです。そこで私は、 アリとキリギリス、二つの人生の長所を取って、「アリギリスの人生」という答えにたどりつきました。 自分の将来も大切ですし、今も大切だからです。
  どちらかというとアリの私は、キリギリスに憧れています。
  私に足りない「自分らしさ」を、キリギリスは持っています。
  私は小学校四年生の頃から、あるバンドに憧れて、歌手になりたいと夢みています。この夢は、 今までほぼ誰にも言ったことがありません。私は、周りの人から「頭がいいね」とか「すごいね」とか 言われることがありますが、嬉しいと思ったことは一度もありません。目立ちたくないのです。 人前で話すことも苦手です。これが、自分らしい私です。歌手になるという夢を隠し、 高校の選択肢を増やすためにひたすら勉強を頑張る。これが、今の私です。このままアリのように、 将来のことを考えて今やるべきことをやっていくことも大切ですが、将来のことを考えて我慢だけを続ければ、 本当の自分、つまり自分らしさを失ってしまいそうです。だから、アリとキリギリス、 二つを合わせて「アリギリス」にすると、私に足りない自分らしさ手に入れることができるような気がします。 我慢ばかりするのではなく、また、自分が本当にやりたいことにチャレンジする勇気を持ち一歩を踏み出す。 そうして「アリギリスの人生」を生きていきたいです。