「攻める防犯」が安心・安全な地域をつくる

−平成27年度北海道青少年育成大会開催−
 
  当協会と北海道の共催により、平成27年度北海道青少年育成大会(「少年の主張」全道大会)を、 9月3日に札幌市のかでるホールで開催しました。
  会場には、全道から約400名を超える青少年育成関係者が出席しました。
  大会では、北海道社会貢献賞表彰や北海道青少年基金事業顕彰、基調講演、 青少年の活動発表、道内中学生の各地区代表による「少年の主張」全道大会を行いました。

北海道社会貢献賞
北海道青少年基金事業顕彰の贈呈


  長年にわたり青少年の健全育成活動に献身的に尽力された12名(うち1名欠席)の方々に対し、 その業績をたたえ、北海道の宮川環境生活部長から北海道社会貢献賞が贈られました。
  また、社会参加活動等に積極的に取組み、地域の文化・福祉等の向上に貢献し、 他の模範となっている青少年(団体、個人)の功績をたたえ、北海道青少年基金事業顕彰として、 美幌町青年活動団体 B-live(団体/美幌町)と水留 酉介 氏(個人/札幌市)に、 当協会の佐々木会長から表彰状と記念品が贈られました。
  その後、北海道議会の遠藤議長から来賓を代表して、ご祝辞を賜りました。
  受賞者の方々は、日々の活動を思い起こしながら、これからの活動に決意を新たにしていました。

「少年の主張」全道大会

  本大会は、1979年(昭和54年)の国際児童年を記念して始まり、今回で37回目となります。
  今年度は、道内中学校348校から3万7千人を超える応募があり、その中から各(総合)振興局地区大会を経て、 見事に代表として選ばれた中学生16人が緊張しながらも、地区代表としての誇りを胸に自分の思いを 力強く堂々と発表しました。
  審査(審査委員長:北海道中学校長会幹事 鹿野内 氏)の結果、 最優秀賞(北海道知事賞)には、札幌地区代表の前田 ほの香さん(北海道教育大学付属札幌中学校3年)が 受賞しました。

 入賞結果・発表者詳細はこちら

基調講演
演題「子どもたちにとって安心・安全な地域をつくるために〜私たちができること〜
講師 東京未来大学子ども心理学部長教授 出口 保行 氏


  “「攻める防犯」とは”
  従来型の防犯は、犯罪者が攻めてくることに関して、どうやって自分たちを防御していくかと いう守る防犯でした。「攻める防犯」とは、犯罪者に嫌がらせをすることによって、 途中で諦めさせるという防犯です。私は、犯罪者や非行少年と面接するのが仕事でしたので、 彼らが私に教えてくれたこと、「こういうときは、犯罪ができるけれど、こういうときは、 できなかった。」ということを集めて「攻める防犯」の理論のバックグラウンドに使っています。

  “犯罪の抑止・被害防止(共助への転換)”
  治安を守ることは、それを専門にする仕事の人だけが頑張ればできるというものではありません。 一般の国民の方たちが自分の地域を何とかしよう思う意識を持ってくださることが大切です。
  防犯は、警察や役所に守ってもらいましょうという「公助」の考え方から始まり、 自分でも守らなければという「自助」。そして、最終的には、自分のためだけでなくて、 地域のため、その周囲に住んでいる人のために行動する「共助」という考え方に転換してきました。 これが、私たちの生活を守る上で大きな貢献をしてきました。

  “防犯の主体とミッション”
  防犯ボランティアの数は、全国的に10年位の間に大きく増えており、 これが日本の防犯の大きな強みです。皆さんが地域防犯をするに当たって、 まず気を付けていただきたいことは、ケガをしないよう安全を第一に考えてください。 もし、不審者がいたら、「おはよう。」と言ってみるなど多少の勇気は必要ですが、 私(俺)が何とかしてやろうと勘違いしたら、必ずケガをしますから、止めてください。 不審者を見つけたら、いち早く警察に通報する、あるいは不審者情報をきちんと流すということが、 防犯に携わる方のミッションです。

  “物理的な防犯と心理的な防犯”
  防犯には、環境整備をすることや、防犯ブザーを持たせるなどの物理的な防犯の考え方もありますが、 それだけでは、不十分です。犯罪者の心理を逆手にとり、犯罪者が何もできないと思えるような 心理的な防犯が必要です。例えば、子どもの被害が発生しやすい時間帯や場所にたった一人でも良いから、 防犯の腕章を付けた人が立ってくれているだけで、その地域の中に犯罪者が足を踏み入れなくなるのです。 これが「攻める防犯」です。そのために、何をすべきかを地域で話し合い、活動することが大切です。

  “正しい認識に基づく防犯”
  年少者を狙った性犯罪は、本当は3時台に小学校1年生の学校帰りの道端で狙っているのに、 夕方の公園が危険だと思っている人が多く、親も先生も「夕方の公園は危ないから早く帰りなさい」 という指示を出してしまう。しかし、本来、子どもたちに伝えるべき情報は、 学校帰りに気を付けてということです。メディアを通して頭の中にインプットされている思い込み (主観的現実)ではなく、正確な情報、正しい犯罪認識に基づく防犯でなければなりません。 それが「攻める防犯」です。

  “地域の繋がりをサインとして出す”
  犯罪者に嫌がらせをして、犯罪者のリスクを高めていくことが重要です。 適材適所に防犯の帽子をかぶっている人や腕章を付けている人がいたり、 「こんにちは。」とあいさつをされることは、犯罪者にとっては、リスクを高めることになります。 そして、犯罪を途中で止めさせる一番大事なことは、地域の皆さんが繋がっていること、 そして、それをサインとして出すことです。犯罪を思い付いたとしても、犯罪者化させない防犯、 それを各エリアの中で話し合って、自分たちのできることを展開していってくだされば、 皆さんたちの街は、一層良い街になると思います。

  “地域の現状に対応した攻める防犯”
  こうやったら大丈夫ですよというハウツー(how-to)でできる防犯はありません。 その上に来るのが犯罪者ですから、犯罪は無くならないのです。だからこそ、 皆さんがお住まいの地域でどんな犯罪が起きていて、それに対応して、何が犯罪者に対する 一番の嫌がらせになるのかということを考えて、対応した動きをしていくことが 「攻める防犯」の中では、非常に重要なのです。

青少年の活動発表

  本年度は、今年民謡で日本一となった、岩見沢市在住の中学1年 横田 彩青 (よこた りゅうせい)さんにご出演いただきました。
  横田さんは、5歳から民謡教室に通いはじめ、これまで数々の大会で賞を受賞されているほか、 高齢者施設や福祉施設への慰問も行うなど社会福祉にも貢献されており、 この日も横田さんの若く迫力のある民謡で、大会参加者を魅了し、聴き入っていました。